立ちくらみ=貧血ではない!?【医師にインタビュー】
記事要約
よく「貧血」とイコールと思われがちな「立ちくらみ・めまい」。意外と多い原因となる「脱水」や「起立性低血圧」にフォーカスを当てます。
立ちくらみ=貧血ではない!?
長時間座っている状態から立ち上がった時、朝ベッドから起き上がろうとした時、クラリとめまい(立ちくらみ)がした経験がある方、いらっしゃいますか?生理中に貧血でクラリ…というイメージなので、立ちくらみを覚えると「貧血かな…」と思う人も多いのですが、実はそうではないのです!
今日はそんな良くある「立ちくらみ」についてアナムネの小松医師にお話を伺いました。
「立ちくらみ・めまい=貧血」と思われがちですが、必ずしもイコールではありません。貧血とは血液中のヘモグロビンが少ない状態で、血液検査をしなくては診断できません。貧血の症状の一つとして立ちくらみ・めまいがありますので、貧血が原因のことも確かにあるのですが、意外と多い原因は、実は「脱水」や「起立性低血圧」なのです。
立ちくらみの原因は?
立ちくらみやクラッとするめまいが起きるのは、脳に血液・酸素が十分に送られないことによるのですが、その原因はいくつかあります。
- 脱水
- 起立性低血圧
- 自律神経の乱れ(睡眠不足・ストレス・疲れ・運動不足)
- その他、低血糖、暑い場所にいたから など
- 貧血
「起立性低血圧」というのは男性よりも女性に多くみられます。寝ている状態から急に起き上がったり、長時間座っている状態から急に立ち上がったりした時、体内の血液が重力の関係で脳に必要とする血液が十分に届かない状態になると、通常は脳に十分な血液を送れるよう自律神経が働き末梢血管を収縮させ、血圧を維持するよう体が調整します。
しかし、脱水症状を起こしていて血の巡りが悪かったり、もともと低血圧(足元の筋肉が弱く血液を心臓に戻すポンプが弱い)だったり、ストレスや朝の起きがけで自律神経の働きが鈍くなっていたりすると、体が瞬時に対応できずに頭に行く血液が一時的に少なくなり、立ちくらみを引き起こすのです。
立ちくらみ対策
立ちくらみを感じた時は、まず、座る、または横になり安静にしていましょう。数分で治まることが多いので、その後しっかりと水分を摂り、ゆっくり起き上がることを心がけましょう。
立ちくらみの予防
こちらの3つの対策をぜひ、お試しください。
1.水をよく飲む
口が渇いてくっつく感じがする、トイレに行く回数が一日に4回以下、尿が少ない・濃い・強い匂いがする場合は、水分が足りないサインです。脱水がひどくなると、視界がぼやける、脱力感、吐き気などの症状が伴うこともあります。よく1日2リットルと言われますが、実際には明確な決まりはありません。
脱水にならないために一日10杯は水分をとることを心がけましょう。カフェイン・お茶は利尿作用があるので補水には適しませんので、水分補給には水や白湯を飲むようにしましょう。
汗をよくかく方やスポーツをされる方は、少量の塩分も同時にとるといいでしょう。私がお勧めしているのは、「水を持ち歩く、起床時、毎食事と食間にコップ2杯ずつは飲むようにする、集中して水分補給を忘れがちな仕事中は、携帯で1時間おきにアラームをセットしてコップ1杯の水を飲むようにする」などです。
水を飲むことで、立ちくらみが減る、肌にもいい、頭がさえる、代謝があがる、ダイエットにもなる、心機能・腎機能も良くなり、いいことづくめなので、ぜひお試しください。
また、アルコールは利尿作用があり、飲んだ後は軽い脱水症状を起こしやすいので、意識的に水も多く摂るようにしましょう。
2. ゆっくり起き上がる
朝は特に、自律神経が上手く作動しにくいので、まずは座って数分間様子を見て、それからゆっくり立ち上がるといいでしょう。
入院している患者さんが長期臥床状態から起き上がる際に行うのですが、まずは5分間少し頭を高くしておき、血圧を測って大丈夫だったら、座って更に5分おき、それから足を下して…と言う指示を出します。それをイメージしてください。
起立性低血圧を起こす人は、起き上がった瞬間に普段の血圧より20-30mmHg低くなることもあるので、体を慣らすためにゆっくり体勢を変えることが大切です。
同様に、物を拾う時も、腰をまげないで膝を曲げて拾うといいでしょう。頭を急激に下げて上げると、クラリとすることがありますので。
3.自律神経のバランスを整える
急激な体勢の変化に体が対応できないのは、自律神経のバランスが崩れている場合が多いです。
長時間労働が続くと交感神経が優位の時間が増えてしまい、バランスを崩しやすいです。忙しい時期や、ストレスが溜まったなと感じたら、意図的に副交感神経が優位になるようなリラックス時間を取るようにして下さい。
通常のご自身のストレス発散(運動や趣味など)をする時間がない場合も、十分な睡眠時間を確保する、寝る前は深い呼吸を意識する、数分でも瞑想の時間を取る、カモミールなどのハーブティーでリラックスする、などもお勧めです。
その他にも、
- 暑い環境を避ける
- 座っている時に足を組まない
- 運動してふくらはぎに筋肉をつける、弾性ストッキングを履く
- 低血圧の人は、食事の塩分を少し増やす、炭水化物を減らすか一度に多く食べないようにする
これらをお試しいただいても改善しない、または、立ちくらみ・ふらっとするめまいが頻繁に起こったり、長時間続く、意識を失ったりするほど強い場合は、実際に貧血の可能性やシリアスな原因が隠れている場合もありますので、内科への受診をお勧めします。
暑い季節は特に立ちくらみを起こしやすくなりますので、対策をしておきましょう!