若い女性にも増加している骨粗鬆症、原因はなんと!【医師にインタビュー】
記事要約
無理なダイエットや過度な紫外線防御は骨がスカスカになる原因だった?骨を強くして健康的な体を維持するために普段の生活でできることとは?
若い女性にも増加している骨粗鬆症(こつそしょうしょう)正しい知識と少しの工夫で美しく健康な体に
そろそろ紫外線が気になる季節ですよね。日焼け止め、帽子など紫外線対策はバッチリという人もいるかもしれません。しかし、実は、紫外線を完全に避けてしまうのも良くないのです!なぜだか分かりますか?
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と聞くと、高齢女性の病気というイメージですが、近年、より若い年代の女性にも増加しています。美しい体を作り上げるために頑張って行っているダイエットやUVカットなどが、実は身体の内部にある骨の生育を阻害する原因だとしたら?
正しい知識と少しの工夫によって健康な体は維持することができます!さあ、今年の夏から、スタートしましょう!
骨を強くするのに欠かせないビタミンD
「骨を強くするにはカルシウム」というイメージがありますが、実際は「カルシウムとビタミンDの両方」が必要です。ビタミンDが欠乏すると、小腸や腎臓からのカルシウム吸収量が減少し、低カルシウム血症になります。ビタミンDには、食物からのカルシウム吸収を促し、血液中のカルシウム濃度を一定の濃度に保つ働きがあり、骨の健康を維持するのに役立ちます。骨密度を保ち、骨粗鬆症を防ぐためにはビタミンDは必須なのです。
皮膚でのビタミンD生成のためには紫外線が必要!
ビタミンDはカルシウム同様、不足しがちな栄養素。しかし、食品から摂取するだけではなく、紫外線を浴びることで体内で作り出すこともできるのです。近年、紫外線はシミ・シワや皮膚ガンなどの原因として敬遠されるようになり、屋外での活動を過度に避けたり、日焼け止め剤や、帽子、日傘などで常に紫外線対策を欠かさない人も多いのですが、適度な紫外線はビタミンD摂取の観点からすると必要なのです。
どのくらいの日光浴が必要?
目安は夏は15~30分、冬は1時間くらいをお勧めします。暑い夏には、日光を浴びすぎることで熱中症になるリスクもあるので注意しましょう。日光を浴びるのは身体のどの部分でも良いので、顔などの日焼けが気になる部分を避け、普段日焼けしにくい足などを日光浴するのも良いかもしれません。目は、過度の紫外線により、紫外線角膜炎、白内障になることが可能性あるので、サングラスの着用をお勧めします。
食品からのビタミンD摂取
ビタミンDを多く含む食品はこちら。積極的に摂取しましょう。
【きのこ類】きくらげ、干し椎茸、舞茸、ブラウンマッシュルーム
【魚】鮭、メカジキ、マグロ、うなぎ、さんま
【肉・乳製品・卵】牛レバー、ヨーグルト、牛乳、卵
ビタミンDは脂溶性なので、きのこ類は炒め物や揚げ物にして、油とともに摂取すると、より効率よく、吸収されます。なお、カルシウムを多く含む食品は、牛乳、チーズ、小松菜、青梗菜、乾燥ひじき、しらすなど。ビタミンDと併せて食べるといいでしょう。
日本の成人の1日あたりのビタミンD摂取の目安量は、400-800IU(10-20μg)※1であるのに対し、実際の平均摂取量は、300IU(7.5μg)※2と、日本人はビタミンDが不足している人が多いことが分かっています。(海外では乳児用ミルクだけではなく、牛乳などでもビタミンD強化食品が多く流通していて、積極的に摂取されています。)ビタミンDの摂取を意識して、1度ご自身の食生活を見直してみましょう。
※1 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(2015年版)
※2 平成27年国民健康栄養調査
女性の骨事情
女性の骨密度のピークは18-20歳前後と言われているので、ピークまでに過度なダイエットや紫外線防御をせず、運動や食事に気を遣い、骨密度を高くすることはとても大切です。大人になってから努力しても骨密度はなかなか増えないのです。
女性は閉経後にガクンと骨密度が落ちます。骨粗鬆症の男女比は1:3で女性はより骨粗鬆症になりやすいのです。80代になると、女性のほぼ半数、男性の2-3割が骨粗鬆症になってしまいます。一旦、骨粗鬆症になってしまうと、薬を飲んでも加齢に伴う骨密度の低下のスピードを緩やかにできる程度で、回復は難しいのが実情です。骨粗鬆症になると、骨折のリスクが高くなり、骨折をすれば大きく生活の質が低下し、寝たきりになってしまうこともあります。若い方でも無理なダイエットや過度な紫外線防御は骨がスカスカになるので、注意が必要ですよ!
骨粗鬆症を防ぐため今からできる対策
日々の生活の中で、適切な食事からビタミンDを摂取し、適度な日光浴を心がけることはもちろんですが、1度、ご自分の骨の状況を確認してみましょう。
高齢になってからの健康診断や骨折して初めて「骨粗鬆症」だと発覚する人が多いですが、一旦低下しまった骨密度はなかなか回復しないことを考えると、早期の対策が重要です。閉経前後の時期にぜひ一度、骨密度測ってみることをお勧めします。
小さな病院等には、手首やかかとで測る簡易的な測定器もありますが、一番正確なデキサ(DXA、二重エネルギーエックス線吸収法)という機械のある整形外科や骨粗鬆症外来で腰椎と大腿骨頚部の骨密度を測ってもらうと良いでしょう。
最近では、血中ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD)濃度の測定も保険適応となり、より患者様1人1人に合わせた骨粗鬆症の治療ができるようになっています。
大人の女性は、定期的に産婦人科に検診に行くように、整形外科にも検診に行くようにしましょう。
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