乳がん発症リスクや検診ポイント【医師にインタビュー】
記事要約
女性がん疾患のトップである”乳がん” その発症リスクと検診のポイントとは
乳がん発症リスクや検診のポイント メディアでよく耳にする「乳がん」、その実態に迫ります。 乳がんリスクや検診について医師に聞いてみました。
メディアでの芸能人の乳がん発症のニュース、若くして亡くなる方の原因などでよく聞く乳がん。
乳がんで悲しむ人をひとりでも減らしていくために毎年10月は「ピンクリボン月間」として、乳がんに関する正しい知識の普及と、乳がん検診の受診を通じた早期発見・早期治療を啓発するキャンペーンが全世界的に展開されています。
乳がん検診は健康診断では一般的に40歳からの項目なので、まだ受けたことがない方も多いかもしれませんが、今回はリアルな話を乳腺外科の医師にお伺いしました。
まず、なぜ乳がん検診の啓蒙がこんなに活発なのでしょうか?
女性のがん疾患のうち、トップが乳がんである上に、日本人の乳がんの発症はこの15年間で年間4万人から9万人に急増しています(国立がんセンター調べ)。
それは、日本人の食生活の欧米化や晩婚化などが影響していると考えられています。他のがんに比べて比較的発見しやすい部位であり、かつ、早期発見で治癒できる可能性が高いがんであるため積極的な検診で早期発見を勧めています。
どんな人が乳がんになりやすいのですか?
主なリスク因子は4つ挙げられます。
《1》女性ホルモンにさらされている期間が長い人。
例えば、妊娠や出産の経験がない、授乳期間が短い、初潮が早い、閉経が遅いなど、身体が女性ホルモンにさらされている期間が長いほどリスクが高くなります。
乳がんの約8割が女性ホルモンが悪さをして起こるので、女性ホルモンにさらされている期間が長いほど乳がんが発症しやすくなってしまうのです。
また、更年期のホルモン補充療法やピルを飲んでいる方なども同様です。
《2》遺伝性乳がん・卵巣がんの人
乳がんの5~10%は遺伝的に乳がんになりやすい体質の人に発症します。
《3》肥満の人
閉経後は脂肪細胞から女性ホルモンは作られます。閉経して生理がなくなっても、肥満で体内に脂肪が多いと乳がんの原因となる女性ホルモンが多く作られてしまい、それだけ乳がんリスクが高くなります。
また、閉経前でも日本人では肥満がリスクを高める可能性があるといわれています。
《4》喫煙・アルコール
これはどの癌にも言えることですが、喫煙者はがんリスクが高くなりますね。
アルコールは摂取量が多いほど乳がんのリスクが高くなります。
えっ?!ピルや更年期のホルモン補充療法も乳がんリスクを上げるんですか?
そうです。アメリカでは更年期にホルモンを補充するHRTパッチなどが普及した当初に乳がん患者も急増しました。ホルモン補充療法の利用量を抑えて必要最低限の処方にするようになり、乳がん発症率は低下したんです。なので、ホルモン補充療法は婦人科の医師とよく相談のうえ慎重に行いましょう。
乳がんを予防するにはどうしたらいいのでしょうか?
乳がんは生活習慣病とも言われていて、食生活でかなりリスクが変わってきます。
高脂肪食、過度な飲酒、タバコ、運動不足はリスクが上がるので、それらを避け、健康的な生活を心がけましょう。
あと、授乳すると乳房に張りがなくなってふにゃふにゃになりますよね。胸が垂れたと悲しまないで!実は乳がんが発生する乳腺そのものが授乳によって脂肪にかわってしまうので、乳がんリスクがぐんと下がるんですよ!
40歳になったら定期的な検診を!
日本では40歳以降の2年に1回のマンモグラフィ検診が推奨されています。検診は症状が無い方が対象ですので、症状がある場合には医療機関を受診してください。
自己触診のコツは?
乳がんは自分でみつけることができるがんであり、自己触診は大変有効です。乳がんのしこりは硬く、例えるなら梅干しの種が毛布の下にあるイメージです。よく触われば、はっきりとわかるしこりです。一般的に乳房の中で1個のガン細胞が発生してからしこりが1㎝位の大きさになるまでに10年程度かかります。
自分でしこりを発見して来院する方も多いのですが、痛みを伴う乳がんは全体のたった5%程度。つまり「乳がんのしこりは痛くない」ことがほとんどです。胸が張って痛い、腫れている様なしこりがある場合は、生理前や排卵日のホルモンバランスによる乳腺の痛みや腫れのことがほとんどなので、慌てずに数日間様子を見てからの受診でも大丈夫ですよ。
最後に、この記事をご覧になっている方へのメッセージをお願いします。
日本人の乳がんは年々増加傾向にあります。特に乳がんは他のがんと比べると若い方に多く発症します。自分でみつけることができるがんですので、月に1回の自己触診を習慣にして、さらに定期的な乳がん検診を受診するように心がけてくださいね。
生活習慣もリスクの大きな要因ですので、身体に良い生活習慣を取り入れて健康的な生活を送るようにしましょう。
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