ダイアモンド・ブラックファン貧血|疾患情報【おうち病院】
記事要約
ダイアモンド・ブラックファン貧血(先天性赤芽球癆)は、赤血球の造血のみが障害される先天性の血液疾患です
ダイアモンド・ブラックファン貧血とは
ダイアモンド・ブラックファン貧血(先天性赤芽球癆)は、赤血球の造血のみが障害される先天性の血液疾患です。骨髄では赤血球系細胞のみが著減し、末梢血では網赤血球が減少し、大球性正色素性貧血を呈します。
新生児期から顔色不良で発見されることが多く、1歳までに90%が発症します。約50%の例は種々の奇形や発育障害を合併する。ほとんどが散発例であるが、約10~20%の症例では家族歴があり、常染色体優性遺伝の遺伝形式をとる。英語では、Diamond-Blackfan anemia と表記されるため、頭文字をとってDBAと表されることもあります。
ダイアモンド・ブラックファン貧血の原因
リボソームタンパクの一つであるRPS19 をコードする遺伝子の異常であることが明らかにされました。リボソームの機能障害のために生じる翻訳の異常が、貧血を引き起こす中心的なメカニズムであることが明らかになりつつあります。日本では約30%の患者さんに遺伝子異常が認められます。1)
ダイアモンド・ブラックファン貧血の疫学的整理
自己免疫性溶血性貧血は国の指定難病の1つで、現在日本では23名の方が、難病指定を受け、治療を受けています。2)
ダイアモンド・ブラックファン貧血の症状
- 貧血症状:顔色不良、息切れ、動悸、めまい、易疲労感、頭痛が挙げられます。
- 合併奇形:頭部・顔部の異常が最も多く、大頭、小頭、大泉門開大、顔貌異常、小顎、口蓋裂、巨舌、兎唇、上肢の異常(母指球の平坦化、母指骨異常)、低身長などが認められます。腎泌尿器系の奇形や先天性心疾患、知能障害が認められることがあります。
主な合併症
受ける治療によって、以下のような合併症を認めることがあります。輸血依存性の場合、鉄過剰症によって肝機能障害、糖尿病、甲状腺機能低下症、心筋症を合併することがあります。低身長はダイアモンド・ブラックファン貧血の合併奇形の一つですが、最終身長はステロイド療法、鉄過剰症や慢性貧血の影響を受けます。
ダイアモンド・ブラックファン貧血の女性では、妊娠中の合併症(子癇前症、流産、早産、死産、子宮内発育遅延、先天奇形)が通常より多く認められ、急性骨髄性白血病などの悪性疾患を合併することがあります。
ダイアモンド・ブラックファン貧血の診断 3)
下記診断基準の4項目すべてみたすときは確定診断に至ります。
A:診断基準
- 1歳未満発症である
- 大球性貧血(あるいは正球性貧血)で他の2系の血球減少を認めない
- 網状赤血球減少を認める
- 赤芽球前駆細胞の消失を伴う正形成骨髄所見を有する
A:診断基準の2~3項目を見たし、B:大支持基準、C:少支持基準も複数満たすときにはダイアモンドブラックファン貧血である可能性が高いと診断されます。
《1》 Aのうち3項目+Bのうち1つの大あるいは2つの小支持基準。
《2》 Aのうち2項目+Bのうち2つの大あるいは3つの小支持基準。
《3》Bのうち2つの大支持基準。
B:大支持基準
- 古典的ダイアモンド・ブラックファン貧血に見られる遺伝子変異を有する。
- 家族歴を有する。
C:小支持基準
- 赤血球アデノシンデアミナーゼ活性(eADA)と還元型グルタチオン(eGSH)の高値。
- 古典的ダイアモンド・ブラックファン貧血にみられる先天奇形を有する。
- ヘモグロビンFの上昇。
- 他の先天性骨髄不全症候群の証拠がない。
また以下の疾患を除外する必要があります。
Transient erythroblastopenia of childhood(TEC)、先天性角化不全症、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、 先天性無巨核球性血小板減少症、ピアソン症候群
ダイアモンド・ブラックファン貧血の治療
輸血とステロイド療法が基本となります。60%の方はステロイドに反応しますが、そのうち60%がステロイド依存性となります。治療抵抗例では、同種骨髄移植の適応があります
ダイアモンド・ブラックファン貧血の相談の目安
赤ちゃんのときに、顔色不良、頭の大きさの異常、大泉門が閉じない、顎が小さい、口の上側が縦に裂けている、舌が大きい、親指の形の異常、低身長などを認めたり、乳幼児健診で異常を指摘されたりしたときには、総合病院の小児科や血液内科への受診をお勧めいたします。
<リファレンス>
1)難病情報センター先天性赤芽球癆(Diamond Blackfan貧血)(平成21年度)
2)令和3年度末現在 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数
3)小児慢性特定疾患情報センター 先天性赤芽球