抗糸球体基底膜腎炎|疾患情報【おうち病院】

記事要約

抗糸球体基底膜腎炎は肺胞壁と腎臓の糸球体基底膜の共通の成分に対する自己抗体である抗糸球体基底膜抗体が原因となり、肺出血や急速進行性糸球体腎炎を来す予後不良な疾患です。

抗糸球体基底膜腎炎とは

肺胞壁と腎臓の糸球体基底膜の共通の成分に対する自己抗体である抗糸球体基底膜抗体が原因となり、肺出血や急速進行性糸球体腎炎を来す予後不良な疾患です。日本では抗糸球体基底膜抗体により肺出血と急速進行性糸球体腎炎の両者が生じた場合にGoodpasture症候群と呼ぶことが一般的で、急速進行性糸球体腎炎のみが生じたときは、抗糸球体基底膜抗体型腎炎と呼ぶことが多いです。

糸球体基底膜は英語でglomerular basement membraneというためGBMと略されて表記されることもあります。

抗糸球体基底膜腎炎の原因

糸球体基底膜の4型コラーゲンに対する抗体(抗糸球体基底膜抗体)が産生され、糸球体基底膜に沈着することで、免疫学的機序を介して糸球体を中心に炎症が起こります。

抗糸球体基底膜腎炎の疫学的整理

抗糸球体基底膜腎炎は国の指定難病の1つで、現在日本では23名の方が、難病指定を受け、治療を受けています。1)

抗糸球体基底膜腎炎の症状

腎臓の症状としては、赤色の尿や尿量の減少があります。病初期には、発熱、だるさ、食欲がないなどの全身の症状や血痰などの症状がみられる場合があります。病気が進行すると、吐き気、息苦しさ、むくみなどが出現します

抗糸球体基底膜腎炎の診断

血液検査で、尿素窒素、クレアチニン、CRPの上昇を認めたり、抗糸球体基底膜抗体陽性、MPO-ANCA陽性を認め、尿検査で、血尿、蛋白尿、赤血球円柱、顆粒円柱などを認めます。 腎生検で特徴的な所見(線状の免疫グロブリンの沈着と壊死性半月体形成性糸球体腎炎)を認める場合などに確定診断に至ります。2)

抗糸球体基底膜腎炎の治療

経口・点滴ステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミゾリビンなどの免疫抑制薬、抗体除去のための血漿交換、血液吸着療法などが行われます。腎不全が進行した場合には、透析や腎臓移植などの治療を併用します。食事療法として、タンパクや塩分の制限、カロリーの摂取が必要で、尿量が少なくなった時には水分の制限も必要となります。

抗糸球体基底膜腎炎の相談の目安

血尿、尿量が減った、発熱、だるさ、食欲がない、血痰、吐き気、息苦しさ、むくみなどの症状が出現した場合は早めに受診しましょう。

<リファレンス>

1)令和3年度末現在 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数
2)難病情報センター抗糸球体基底膜腎炎(指定難病221)

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