自律神経失調症|疾患情報【おうち病院】
記事要約
自律神経失調症とは副交感神経、交感神経からなる自律神経のバランスが崩れ、体や心のバランスが乱れる状態です。自律神経失調症の原因・治療方法・診断のコツなどを、医師監修の基解説します。
自律神経失調症とは
副交感神経、交感神経からなる自律神経のバランスが崩れ、体や心のバランスが乱れる状態を自律神経失調症といいます。その結果、疲れやすさ・だるさ、便秘や下痢、頭痛やほてり、喉の違和感や動悸、しびれや手の汗、頻尿や残尿感などの多岐に渡る症状が出てしまう状態を指します。
自律神経失調症の原因
睡眠不足や生活リズムの乱れ、過度なストレス、ストレスに対する耐性、体力的な疲れ、食生活の変化、環境の変化によるストレスなどが種々の原因があります。
睡眠不足や生活のリズムの乱れ
夜間勤務など夜型生活など不規則な生活リズム、社会環境やライフスタイルの変化など
過度なストレス
仕事などの社会的ストレス、人間関係、精神的ストレス、環境の変化など
ストレスに弱い体質・性格
子供の頃からすぐ吐く、下痢しやすい、周期性嘔吐症と診断されたことがある、環境がかわると眠れないなど、生まれつき自律神経が過敏な方
ストレスに弱い性格
感情処理・気持ちの切り替えが苦手、人の評価を気にしすぎる、人と信頼関係を結ぶのが苦手な方
環境の変化
社会環境の変化、人間関係や仕事などの環境の変化などへの不適応や過剰適応
自律神経が乱れやすい時期
思春期や更年期、身体が弱っているときは自律神経のバランスが乱れやすくなります。
*思春期にみられる自律神経失調症で、心理的ストレスの影響を受けるものを起立性調節障害といいます。特徴としては、朝はなかなか起きられず、午前中は調子が悪く、4~7月に症状が出現しやすいです。
自律神経失調症の疫学的整理
日本では自律神経失調症と診断された人は約65万人、潜在的な患者数はその10倍とされ、約650万人、日本人の約5%以上の人がかかっていると考えられています。
自律神経失調症の症状
だるさ、疲労感、めまい、たちくらみ、耳鳴り、口やのどの不快感、食欲不振、汗が多い、頻尿・残尿感、ひどい肩こり、冷え、ほてり・微熱が続く、片頭痛、便秘・下痢、手足のしびれ、動悸・息切れ・息苦しさ、焦燥感、不安感など症状は多岐に渡ります。
自律神経失調症の診断
表れている症状に関連がありそうな疾患について検査し、診断候補の疾患を除外しながら診断を進めていきます。動悸や息切れの症状があるときは内科や循環器内科を受診し心電図検査を行い、めまいやふらつきを自覚する時は耳鼻咽喉科を受診し聴力・平衡機能検査などを行います。個人によって症状の表れ方が異なるため、内科や耳鼻咽喉科、婦人科、脳外科などを受診して、器質的な疾患を全て除外したのち、自律神経失調症の診断に至ります。
自律神経失調症の治療
自律神経のバランスの乱れには、多くは睡眠不足や生活のリズムの乱れ、体力的な疲れや食生活の変化などがきっかけである場合が多いので、ゆっくりと休む時間を取ることや、規則正しい生活リズムの回復を目指すことが自律神経失調症の改善につながります。その他、症状に応じて、自律訓練法によるセルフコントロール、カウンセリングやリラクゼーション法、指圧やマッサージ、整体や鍼灸、有酸素運動やストレッチ、音楽療法、アロマテラピーなど、五感に働きかける治療法など、様々な治療法があります。
自律神経失調症の相談目安
症状が2~4週間続く場合、日常生活に支障を来す場合に、まずはご自身の症状に合った内科や耳鼻科、婦人科、泌尿器科などの診療科を受診をしましょう。受診しても原因となるような病気がない場合、治療を受けても症状が改善しない場合、うつ気分や不安感など精神的な症状も現れてきた場合には心療内科や精神科、神経内科の受診をお勧めいたします。