青あざ 蒙古斑と太田母斑|疾患情報【おうち病院】

記事要約

青あざは色素細胞(メラノサイト)が皮膚の深いところ(真皮)に集まって出来るアザで、生まれつき又は生まれて間もなく出来るものや思春期以降の大人になってから出来るものがあります。青あざの原因・症状、治療方法・改善対策を解説。

青あざ 「蒙古斑」と「太田母斑」

青くみえる「あざ」は色のもとになる「メラノサイト」が皮膚の「真皮」に存在するためです。

皮膚は表面から、角質・表皮・真皮・皮下脂肪、という組織があります。メラノサイトは通常、表皮の一番下の基底層というところにあり、これが増加することにより茶色ないし黒っぽいあざになります。

メラノサイトは通常、真皮には存在しないのですが、これが存在するといわゆる「青あざ」になります。

代表的なのは多くの赤ちゃんに見られる蒙古斑、成人までみられる太田母斑ですので、これらについて解説します。蒙古斑は通常お尻にみられるものは自然消退しますが、他の部位に生じたものは異所性蒙古斑と呼ばれ消退しないこともあります。 

症状と経過

《1》蒙古斑

日本人の赤ちゃんのお尻から背中にかけて出生時よりみられる灰青色調の斑です。腕や足、腹部や胸などにみられる蒙古斑は異所性蒙古斑と呼ばれます。

通常の蒙古斑は生後2歳ごろまでに青色調が強くなりますが、その後次第に薄くなり、10歳前後までには大部分が消失します。しかし、約3%ほどは成人になっても残り、その多くは直径2cm程度までの円形の青色斑で、持続性蒙古斑と呼ばれます。

異所性蒙古斑は10歳くらいまでにある程度色調が薄くなりますが、消退することはありません。

《2》太田母斑

1)症状

顔面にみられる青あざが太田母斑です。

特に顔面三叉神経の第1枝および第2枝の領域、すなわち顔面の上3分の2の範囲に、通常は片側性まれに両側性に生じます。

生後半年以内に生じることが多く、出生時に見られることはまれです。思春期に色調が黒くなったり新しい色素斑が生じることもありますが、20〜40歳代で発症することもまれではありません。

目の下のくまと思われているものが軽症の太田母斑であることもあります。しばしば眼の結膜(白目のところ)に青色の色素斑が存在することがあり、この場合は出生時に顔に色素斑が存在しなくても、多くは思春期までに顔に青あざが生じ、拡大することも多いです。色調の変化は口の中にも見られることもあります。

色調が均一だと茶色いあざにみえたり、小さな褐色斑が左右対称に生じるとそばかす、中年以降に両側性に生じると加齢によるシミと間違われることがあります。幼少時の軽症例では色調の濃淡が少なく、異所性の蒙古斑と鑑別を要することがあります。

2)病型

以下に分類されます。

  • 軽症型:眼窩型、頬骨型、前額型、鼻翼型など部分的なあざ
  • 中等度型:軽度型の皮疹が2つ
  • 高度型:軽度型の皮疹が3つ以上
  • 両側型

両側型は非対称的に皮疹が反対側にまでおよぶと重症例となります。

治療方法と流れ

1)青あざの一般的治療法

Qスイッチレーザーによるレーザー照射で、ほとんど跡形なく治すことが可能です。太田母斑では保険適用(使用機種)にもよるため第一選択になります。

レーザー療法では、メラニンを有するメラノサイトを選択的に破壊することにより、症状を改善します。Qスイッチレーザーは、色調の原因となるメラノソームを標的とするナノ秒パルス光を照射できます。このほか波長の異なる、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、YAGレーザー(保険適用なし)などが用いられています。波長が短い光ほどメラニンへの吸収率が高いですが、皮膚深部への深達度は波長が長い光の方が優れています。

同一部位について3か月以上の間隔で5回程度の照射により効果が得られます。細胞外に出されるメラニンが除去されるには1〜2か月かかるので、色調が薄くなるには時間がかかります。メラニンが多い場合にはより多くの回数を必要とする場合もあります。

レーザー照射後1か月で一過性に色が濃くなることがあるので、炎症後の色素沈着が収まってから再度照射します。炎症後の色素沈着は3〜4か月で消退するので、3〜4か月ごとに行います。何度かくりかえすことで、太田母斑はほぼわからなくなります。

2)治療の時期

蒙古斑の大部分は10歳前後に消えるので基本的には治療を行う必要はありません。異所性蒙古斑は完全に消えることはないのでレーザー治療の適応となります。10歳ころまでにはある程度改善がみられるので、10歳過ぎてからレーザー治療を行ってもよいでしょう。ただ、赤ちゃんのときに治療したほうが体が小さいため面積が少なく皮膚も薄いため治療時間と回数が少なく少なくすむかもしれません。

太田母斑の治療はいつ行っても変わりありませんが、一般には小児の方が治療回数が少なくてすみます。しかし、レーザー治療には強いゴムで弾かれたうような痛みを伴います。眼周囲の病変のため、小児が暴れてレーザー照射が眼に入ると失明の危険があります。したがって小児期にレーザー治療を行う場合には全身麻酔が必要です。何度か行う必要があること、いったん色素病変が消失しても思春期以降に再発することもあるため、太田母斑が完成する思春期以降に行ったほうがよいかもしれません。

生活上の注意

レーザー療法によりほぼ完治できることをよく説明し、精神的負担を軽減させることが大切です。レーザー療法中は必ず遮光が必要です。

レーザー療法が困難な場合は、カバーマークなどの化粧品を使用することにより、色調を目立ちにくくすることができます。

青あざの治療はレーザー治療が第一選択になります。症状に応じて専門にと時期を相談しましょう。

<リファレンス>

日本皮膚科学会 皮膚科Q&A アザとほくろ

Lasers and Nevus of Ota : comprehensive review Lasers in Medical Science 31;179-185,

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