アルコール依存症はどこで相談すべき?失敗しないアルコール依存症の病院の選び方

記事要約

「アルコールを摂取してないと手足が震える」「アルコールを取ってないと精神が安定しない」「病院はどう選べばよいのか」と悩む方は多いでしょう。そこで、今回はアルコール依存症の種類や病院の選び方などについて解説していきます。アルコール依存症の治療に役立つポイントにふれていくので、参考にしてみてください。

全身の震えが止まらない、アルコールを飲むと発汗とかの症状が収まる感覚がする、病院をどのように選んでいいのかわからないと悩んでしまう方は少なくありません。

そこで、今回はアルコール依存症の種類やそれぞれの病院の特色による対応の違いなどにふれたうえで、病院選びに役立つポイントを詳しくみていきましょう。

アルコール依存症とは

アルコール依存症とは、長期的に大量のアルコールを摂取し続けることで、アルコールに対して依存してしまう精神疾患のことです。

また、飲酒そのものがコントロールできなくなる精神依存と、アルコールがきれた時に手足が震える・発熱するなどの身体依存が挙げられます。
これらの症状を禁断症状(離脱症状)と呼びます。

※「厚生労働省|アルコール健康障害対策」参照

アルコール依存症の原因

アルコール依存症の原因は、長期間にわたる多量の飲酒です。
例えば、未成年からの飲酒、遺伝、他の精神疾患の苦痛を紛らわすための飲酒など、様々な要因が重なってアルコール依存症を発症します。

ちなみに、飲酒によってアルコールに対する耐性がつくことで、飲酒量が増加しても酔えなくなります。
酔うための飲酒量の増加がアルコール依存症につながるといえるでしょう。

アルコール依存症の病院を受診するタイミング

アルコール依存症の治療は早期発見・早期治療が大切です。
目安として、以下のような場合はすでにアルコール依存症を発症している可能性が高いといえます。

  • 飲酒量の増加によって二日酔いが続く
  • 飲酒時の記憶がなくなるブラックアウトを繰り返している
  • 健康診断で血圧と肝臓の数値に異常が出ている

また、更に進むとお酒で記憶をなくすブラックアウトが続く、お酒を飲んでいないと精神的に落ち着かず、人とのコミニュケーションも取りづらくなっていく点に注意が必要です。

そのため、飲酒量がコントロールできないと感じた段階でアルコール依存症の病院の受診しましょう。

アルコール依存症の検査

アルコール依存症

アルコール依存症の検査は、WHOが定める国際疾病分類(ICD-10)の診断ガイドラインに基づいたチェックシートを使用します。
ICD-10の質問内容は以下6つの部類に分かれます。

  • 激しい飲酒渇望
  • 飲酒コントロールの喪失(コントロール障害)
  • 離脱症状
  • 耐性の証拠
  • 生活に飲酒をどの程度まで取り入れているか(飲酒中心の生活)
  • 有害な結果が起きてもやめられない

3項目以上当てはまれば、アルコール依存症との可能性が高いといえます。

またその他、過度の飲酒をスクリーニングし短時間で評価するための簡便な方法としてAUDITがあります。

細かい10の質問は、「厚生労働省|eヘルスネット|AUDIT」参照
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-021.html

アルコール依存症の症状

アルコール依存症の症状は大きく分けると、精神依存と身体依存の2つに分かれます。

お酒に対する耐性が高くなり続けるため、少量のお酒では満足できなくなる点に注意が必要です。
また、家庭内不和、仕事上のトラブルなどを引き起こす可能性が飛躍的に高くなります。

アルコールへの耐性があがることで依存症以外のうつなどの別の精神疾患、生活習慣病の罹患の可能性も高くなる点は把握しておきましょう。
では、精神依存と身体依存の内容を詳しくみていきます。

《1》精神依存

アルコールは強い依存性を持つ薬物の1つです。
例えば、アルコールを摂取することで味わえる心地よさを再び味わいたいと強く思うこともアルコールの作用だといえます。(中毒と言っても過言ではない)

そして、精神的依存が始まると、どのような場所や状態でもアルコールを欲するようになるため、文字通り自分ではコントロールできない状態となっていきます。
加えて、飲んで酔うことが生活の最優先事項となっていくため、通常の社会生活ができなくなる点も把握しておきましょう。

《2》身体依存

飲酒を行っていない状態になったときに、手足の震えや発汗、幻覚が表れることを意味します。
俗にいう離脱症状に該当し、アルコールを摂取することで一次的に収まるものの、仕事や日常生活に支障をきたすことが多くなる点も特徴です。

アルコールが切れると離脱症状が表れるため、酒を辞められない悪循環を繰り返し続けます。
そして、離脱症状だけであれば、少量の酒でも鎮まるものの、家族とのトラブルや仕事における致命的なミスなども起きやすくなっていきます。

うつや社会的信用の失墜、家族とのトラブルが絶えない状態となります。
多量の飲酒によって臓器に問題が生じるなど、命に関わる病気となることもあるため、早めの対処が必要です。

ちなみに、離脱症状を抑える場合、少量の酒でも収まってしまうことから結果的に酒を飲む習慣が辞められない人が多く、アルコール依存症がいつまでも治らないというケースも少なからずあります。

そのため、アルコール依存症が疑われる症状がある場合は早めに対応し、さらなる悪化を防ぐことが大切です。

アルコール依存症を治療できる病院の種類

アルコール依存症の治療を行うにあたって病院の種類を把握する必要があります。
アルコール依存症の場合は、全国の精神科・心療内科の開業医・クリニック、総合病院・大学病院、精神保健福祉センターが選択肢になります。

《1》全国の精神科・心療内科の開業医・クリニック

  • 基本的に精神的なアプローチから改善を図っていく
  • 2ヶ月から3ヶ月の入院を促す所が多いものの、場合によってはデイケアを行うところもある
  • アルコール依存症かどうかを診断したうえで、内服薬や断酒補助剤、アルコール依存症の自助グループへの参加を促すところが多い
  • 合併症であるうつや不眠なども治療が可能

《2》総合病院・大学病院

  • 事前の予約が必須
  • 入院を促す場所が多い
  • 検査から総合的な治療が可能
  • アルコール依存症だけでなく統合失調症や肝機能の異常などの合併症も治療可能
  • アルコール依存症リハビリテーションプログラム(ARP)と呼ばれる研修プログラムや自助グループへの参加が行われるケースが多い
  • 定期的な通院や内服薬及び断酒補助剤でのサポートも行う
  • 紹介状が必要となることが多い

《3》精神保健福祉センター

  • 都道府県ごとにどこまで対応できるのか異なる
  • 気軽に相談できる場所として使用できるだけでなく、治療が行えることもある
  • 家族に対してアルコール依存症の理解を促すプログラムを組んでいる場所が多い
  • センターで対応できない場合ば専門医療機関を紹介されるパターンもある
  • どちらかといえば気軽に相談できる場所として利用される

それぞれの病院で対応できる範囲が異なるものの、家族単位で対応してる場所が多いといえます。
これは、家族単位で病気の内容を把握し取り組まなければ、改善が難しいためです。

アルコール依存症の段階や合併症の有無を加味したうえで、治療を受ける病院を選択しましょう。

アルコール依存症の病院選びの際に重視する点

ポイント

アルコール依存症の治療について複数の病院で迷っている場合はアクセス、治療の内容・専門スタッフの業種や医師との相性、入院の可否、コストなどのポイントを意識して選択する必要があります。

また、病院の評判などに関しては事前に検索しておくことで不安を軽減することが可能です。

《1》アクセス

アルコール依存症の場合、通院よりも入院を促されるパターンが多いといえます。
しかし、初期段階では内服薬や断酒補助剤だけでも治療できる場合もあるため、通院する場合は、自分でアクセスしやすい場所を選択することが可能です。

例えば、車を持っている場合でもアルコール依存症の場合はそもそも運転できない可能性があります。
そのため、家族にもわかるような場所にある病院がおすすめだといえます。

加えて、総合病院などでは特定の曜日にしか外来を受け付ていないこともあるため、事前に調べ予約するといった手順も必要です。

《2》治療の内容・専門スタッフの業種

アルコール依存症の治療内容は、各病院によって大きく異なります。
例えば、入院した場合もあくまでも精神的な依存に焦点をあてた治療と合併症まで含めた対応ができるかどうかは、その病院にいる専門スタッフによっても異なります。

そのため、カウンセリングやデイケアなどの治療の内容に加えて、カウンセラーなどの専門スタッフがいるかも検討したうえで病院を選択する必要があります。

ちなみに、治療の流れそのものは、診断から飲酒量低減か断酒、自助グループへの参加などの心理的社会療法を選択する病院が多い点は把握しておきましょう。

また、病院によっては患者の思考や行動を促す認知行動療法なども実施しているケースがあります。
行動や考え方を見直しながら治療ができる場所もあるため、治療内容・専門スタッフはよく確認することが大切です。

《3》医師との相性

アルコール依存症は精神疾患です。
自分の内面に向き合いつつ治療を続けていく必要があります。

そのため、担当医となる医師との相性は今後の治療に大きく影響与える可能性があります。

例えば、担当医が患者にとって威圧的・高圧的と感じるのであれば、通院及び入院どちらでも治療の効果は薄まってしまうことが予想されるでしょう。
そのため、相談なども含めたうえで慎重に病院を選択する必要があります。

前述したように治療方法が大きく変わらない点もふまえて、共にアルコール依存症に向き合っていける相手かどうかを判断していきましょう。

《4》入院の可否

アルコール依存症は、軽度であれば入院の必要はありません。

しかし、既にアルコールによって家庭や職場でトラブルを起こしている場合、入院が必要となるケースも多いのが実状です。
また、重度の離脱症状が出る場合は、その症状に合わせた治療が必要となるため、通院だけでは対処できないこともあります。

例えば、入院が可能な場合、離脱症状だけでなくうつや肝機能障害などを併発していてもまとめて治療することもできます。
そのため、入院できる病院かどうかは慎重に調べて相談することが大切です。

《5》コスト

アルコール依存症の場合、正確な医療費を算出するのは難しいといえます。
しかし、コストに関しては今後の生活や継続的な治療が可能かどうかにも関わってくるため、正確な数値を伝えてくれる病院を選択しましょう。

例えば、保険の扱いから入院費などに関しても聞けば解答してくれる病院であれば、患者としても安心できます。

そのため、病院の種類を選んだあとには、それぞれの病院のコストとコストの内容について明瞭な説明をしてくれるかどうかを比較することが大切です。

アルコール依存症の病院選びのためのチェックリスト

チェックリスト

アルコール依存症の病院を選ぶときには、以下のようなポイントを参考にしてみてください。

  • アクセス
  • 治療の内容・専門スタッフの業種
  • 医師との相性
  • 入院の可否
  • コスト
  • 病院の評判

それぞれのポイントをチェックする際は、気になる病院の治療内容や専門スタッフの業種などをよく確認しましょう。

また、医師との相性は現地に行ってみなければわからないものの、アルコール依存症は精神疾患です。継続的な治療を行うためには、自分の感覚を信じることも大切だといえます。

そのうえで、コストなどを聞き、多角的な視点から病院を選択していきましょう。

まとめ

アルコール依存症の治療を行う場合、まずは相談・受診からスタートしましょう。
アクセスしやすい場所に病院があるとは限らないものの、通院では対処できないこともあるためです。

また、アルコール依存症は精神疾患であるため、医師とのコミニュケーションも大切になります。
例えば「本音で話せない」「コミュニケーションが取りづらい」などといった問題が起こる場合は、病院を切り替える必要もあります。

実際にアルコール依存症は、離脱症状が重度であるほど長期間の治療が必要となるためです。
評判などもGoogleマップから口コミサイト、論文まで幅広くリサーチしましょう。

以上お読みいただきまして、少しでもアルコール依存症の病院選びの際に、お役に立てましたら幸いです。

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