子宮頸がんはどこで相談すべき?失敗しない子宮頸がんの病院の選び方
記事要約
「生理以外でも出血が起こる」「子宮頸がんになるともう妊娠や出産はできないのか」「病院はどう選べばよいのか」と悩む女性は多いと思います。そこで、子宮頸がんの種類や病院の選び方など、子宮頸がんの治療に役立つポイントを解説しました。
生理じゃないのに性行為で出血が起こる、子宮頸がんになると妊娠や出産ができなくなるのか不安、病院をどのように選んでいいのかわからない方も多いでしょう。
そこで、今回は子宮頸がんの原因や病院の特色による対応の違いなど、例を挙げながら子宮頸がんの病院選びに役立つポイントを詳しくみていきましょう。
子宮頸がんとは
子宮の入口にある子宮頸部で発生する悪性腫瘍の1つです。
子宮頸がんは、皮膚にいぼを発生させるHPV(ヒトパピローマウイルス)のうち「ハイリスク型」と呼ばれるウイルスによって引き起こされます。
HPVは性的接触により子宮頚部に感染しますが、大部分は免疫機能によって自然に排除されるものです。
しかし、約10%の人でHPVが排除されず、感染が持続することがあります。
この内の一部の人で、子宮頸部の細胞が徐々に変化し「異形成」と呼ばれる前がん状態に進展していきます。
そして、異形成から数年~十数年かけて、子宮頸がんに進行していくという流れです。
がんに進展した場合でも初期には自覚症状が見られないことが多く、また性交渉の若年化により20〜30歳代の若い年齢層での発症が増えているため検診が非常に大切といえます。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんの代表的な原因は性交渉です。
通常のHPVは性交渉の経験がある人であれば、男女問わずほとんどの人が感染機会があるといわれています。
疫学的には、性交渉の回数、相手が多い、喫煙者、初回性交年齢が若い、免疫機能の低下などが子宮頸がんの危険因子と考えられています。
しかし、一度でも性交渉の経験があれば発症の可能性があることは知っておく必要があるでしょう。
また、稀にHPVの感染がなく発症する特殊な子宮頸がんもあります。
子宮頸がんの病院を受診するタイミング
子宮頸がんは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。
そういった理由から、早期発見のためには定期的な検診が大切です。厚生労働省の政策では、20歳以上となる女性は2年に1度の検診が推奨されています。
ほとんどの市町村が検査費用の多くを公費負担しているため、わずかな自己負担で受けることができます。
子宮頸がんは進行すると以下のような症状がみられます。
- 生理のとき以外の出血(不正出血)
- 性交時の出血、痛み
- おりものの異常(色や量など)
- 尿に血が混じる
- 足腰の痛み
上記の症状がみられる場合は、早めに婦人科を受診し、検査を受けておきましょう。
子宮頸がんの検査
子宮頸がんの検査は、内診を行い子宮頸部を確認するため、下着が脱ぎやすいスカートなど準備が簡単な服装で検査に行くとよいでしょう。
子宮頸がんの検査は、以下の流れで行われます。
- 問診
- 視診・内診・細胞診
- 検診結果
- 精密検査(検診で精密検査要と判断された場合)
問診では直近の月経周期、妊娠や出産の有無などを確認します。
内診では、子宮頸部を確認や細胞診(ブラシなどで子宮頸部の細胞を擦り集め、顕微鏡で調べる)を行うという流れです。
検診結果は1ヶ月以内に出ることがほとんどです。
精密検査が必要となった場合、自覚症状がなくても速やかに精密検査を受けておきましょう。
子宮頸がんの経過
子宮頸がんは発症する前と後で、段階ごとに呼び方が変わります。
異形成段階とがんとなった場合の呼び名の違いを把握したうえで対処していきましょう。
《1》子宮頸がんになる前の異形成段階
異形成段階には、異常のある細胞の割合によって軽度異形成から高度異形成(前がん状態) に分類されます。
軽度及び中等度異形成であれば自然に治癒することもあるため、定期的に経過をみていくことが大切です。
高度異形成の場合には、レーザーで病変部を焼く「レーザー蒸散術」や子宮頸部の一部を切除する「円錐切除術」などを行います。これらの手術法では子宮を温存できるため、術後の妊娠にも希望が持つことができるでしょう。
《2》がんと診断された後の段階
大きく分類すると子宮頸がんのステージは以下の4つとなります。
Ⅰ期:がんが子宮頸部のみ
Ⅱ期:子宮頸部よりも広がり、膣壁の下1/3もしくは骨盤壁には到達していない
Ⅲ期:膣壁の下1/3をこえている、もしくは骨盤壁に到達している
Ⅳ期:がんが膀胱や腸の粘膜へ浸潤、または小骨盤腔をこえている
子宮頸がんの治療方法はステージによって変化します。
進行具合やがんの場所に応じて、手術や放射線療法、抗がん剤投与といった治療法が必要です。
また、子宮頸がんはⅠ期の場合、高確率で完治が期待できるとされています。
ステージがⅠ期でがんが小さければ、子宮の機能を温存しながら治療が可能な場合もあります。
将来妊娠を希望する場合、治療方法の選択に影響しますので主治医にその旨を伝え、相談しながら治療法を決めていかなければなりません。
子宮頸がんの病院の種類
子宮頸がんの治療や検診を行うにあたって、病院の種類を把握しておきましょう。
子宮頸がんの場合、総合病院・大学病院・がんセンター・レディースクリニックが選択肢となります。
《1》総合病院・大学病院・がんセンター
- がん治療に必要な設備が整っている
- 手術の実績が豊富な医師が多く在籍している可能性が高い
- 子宮頸がんの治療に精通した医師が常駐していることも多い
- がんが発見されてからの治療がスムーズにおこなえる
- 妊娠中にがんが見つかった場合、治療と出産を両面からサポートできる体制がある
- 複数の科が連携するため、持病がある場合にも対応してもらえる
- 受診には紹介状が必要なことが多いため事前に確認が必要
《2》レディースクリニック
- 比較的立地がよく、診療時間が幅広いため通院しやすい
- 女性医師やスタッフが揃っていることが多い
- 不正出血などの自覚症状があった際の初診に適している
- 異形成段階での経過観察や子宮頸がん検診にも適している
- 手術や放射線療法など専門的な治療が必要になる場合、対応できるクリニックは限られる
それぞれの病院の特徴を把握したうえで、どの病院を利用するか入念に検討しましょう。
子宮頸がんの病院選びの際に重視する点
子宮頸がんの病院を選ぶときには、アクセス・検査や治療ができる設備の有無・治療実績がある医師の在籍・プライバシーへの配慮・医師との話しやすさを重視して選びましょう。
《1》アクセス
定期的に通う必要があるため、自宅の近くや通勤の途中で通える病院を選択できるのが理想です。
自家用車を使用する、公共交通機関を利用するなど通院する際の移動手段も、考慮することが大切です。
《2》検査や治療ができる設備の有無
子宮頸がんの検査では、精密検査が必要になる場合もあります。
施設によっては精密検査ができる設備がなく、設備の整った他の施設で精密検査をしなくてはいけません。
ひとつの施設で検査ができた方が負担が少なく済むため、あらかじめ問い合わせておくとよいでしょう。
また、がんが見つかり治療を受ける場合にも設備の確認が必要です。
そのため、手術に対応しているか、放射線療法の設備があるかなどは事前に把握しておくとよいでしょう。
アクセスの良い病院であったとしても、これらの条件が合わなければ満足のいく治療を受けられない可能性があるためです。
《3》治療実績がある医師の在籍
異常が見つかり治療が必要になった場合、子宮頸がんの治療実績がある医師のもとで治療を受けられた方が心強いでしょう。
探し方としては、主に以下の3パターンがあります。
- 通院を検討する病院に問い合わせる
- ホームページにて確認する
- 厚生労働省が発表しているDPCデータをもとに、実績のある病院を探して問い合わせる
※以下の参考資料内のカテゴリ12002x「子宮頸・体部の悪性腫瘍」における実績データであり、子宮頸がんの治療を特定した数ではありません。
詳しくは病院への問い合わせが必要です。
また、病院が「がん診療連携拠点」となっているか確認しておくとよいでしょう。
がん診療連携拠点とは、厚生労働省が、質の高いがん診療を期待できる病院として認めた病院のことです。
参考元:厚生労働省|令和元年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について
《4》プライバシーの配慮
子宮頸がんは妊娠や出産にも影響するため、女性にとってはデリケートなものです。
検診結果の告知方法、検診の案内方法や実施方法などを気にする方も多いでしょう。
なるべく他の人と会わずに済む完全予約制の施設や、個室で検診ができるなどの工夫がある施設も多く存在しています。
《5》医師との話しやすさ
子宮頸がんの治療方法や検査方法は、病院によって大きな違いがあるわけではありません。
妊娠中の発見など、状況によって出産に対する影響や治療後のケアなどを相談したい機会も多いものです。
そのため、医師に対して相談しやすいかどうかも、病院を選ぶ上では重要視したいポイントといえます。
話しやすい医師かどうかを判断する要素として、結果だけを伝える医師なのか、結果をふまえて心情に寄り添って今後のアドバイスをしてくれる医師かどうかをみておくとよいでしょう。
子宮頸がんの病院選びのためのチェックリスト
子宮頸がんの病院を選ぶときには、以下のポイントを参考にしてみてください。
- アクセス
- 検査や治療ができる施設の有無
- 治療実績がある医師の在籍
- プライバシーの配慮
- 医師との話しやすさ
それぞれのポイントを確認する際は必要に応じて問い合わせを行い、病院選びの不安点を解消していきましょう。
参考程度であるものの、医療関係のまとめサイトや口コミなどを参照することで、ホームページではみえていなかったこともみえてきます。
まとめ
子宮頸がんは、がんになる前の異形成段階では自覚することが難しいものです。
検診を受けなければ、みつけられないがんともいえるでしょう。
検診を受ける病院を選ぶときには、自分にとって通いやすい場所にある病院選びから始めます。
実際に検診を受けてみると「疑問点を相談しにくい」「落ち着かない」といったことを感じる場合もあるかもしれません。
子宮頸がんはデリケートな問題のため、信頼のおける医師やスタッフがいる病院でなければ、継続して通うのは難しくなってしまいます。
そのため、病院選びのポイントに沿って納得のいく病院を選ぶことを推奨します。
以上お読みいただきまして、少しでも子宮頸がん治療の病院選びのお役に立てて頂ければ幸いです。