体外受精はどこで相談すべき?失敗しない体外受精の病院の選び方
記事要約
「体外受精の費用はいくらかかるのか」「受精する確率はどの程度なのか」「病院はどう選べばよいのか」と悩む女性は多いでしょう。そこで、体外受精の種類や病院の選び方など、体外受精の治療に役立つポイントを解説しました。
体外受精の費用相場はどのくらい、受精の成功率は高いのか、病院はどう選べばよいのかと悩んでしまう方も多いと思います。
そこで、今回は体外受精の種類やそれぞれの病院の特色などにふれつつ、体外受精の病院選びに役立つポイントについて詳しくみていきましょう。
体外受精とは
体外受精とは、不妊治療の一種です。
排卵直前の卵子を体外に取り出してパートナーの精子と人工的に注入することで、本来は卵管内で行われる受精を体外で行うものです。
そして、細胞分裂を繰り返し良好に発育した受精卵を子宮内へ移植します(胚移植)。
1回の治療で受精、着床と順調に進むこともあれば、何度か試みて成功するケースもあるでしょう。
胚移植には、採卵と同周期で行う「新鮮胚移植」と、いったん受精卵を凍結し別周期で子宮内に戻す「凍結胚融解移植」があります。
体外受精を行う理由
体外受精を行う理由となるのは、主に以下の3つのケースです。
- 男性側の精子の量が極端に少ない場合
- 女性側の卵管が2本とも閉塞している場合
- タイミング療法または人工授精で妊娠が叶わなかった場合
体外受精は、上記3つのケースで提案されることが多い治療法です。
タイミング療法・人工授精をおこなっていなくても、年齢が40歳以上の方や卵子の残存数を示すAMHという数値が極端に低い場合は、最初から体外受精が選択されることもあるでしょう。
また35歳〜39歳の方も、タイミング療法や人工授精にあまり時間をかけずに、早めに体外受精を提案されることも多くなっています。
体外受精の病院を受診するタイミング
体外受精の妊娠率は、新鮮胚移植の場合23.1%、凍結融解胚移植では35.4%と報告されています。
※日本産科婦人科学会 2019年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績より
この妊娠率は年齢とともに低下し、40歳以上ではさらに低くなります。
また妊娠した後の流産率は年齢とともに増加するため、実際に出産まで至る確率はさらに低くなってしまうのが現実です。
そのため、35歳以上で初めて不妊治療を開始される方は、体外受精も視野に入れて病院選びをすることが大切です。
既に治療を開始されている方は、タイミング療法や人工授精にあまり時間をかけずに体外受精へのステップアップを担当医と相談するのが良いでしょう。
40歳以上の方の場合、初めから体外受精を提案される場合もあります。
そのため体外受精を行なっている病院を選び、通院する方が時間のロスを最小限にします。
妊娠・出産は年齢とともにリスクが増えるため、できる限り早めの受診がおすすめです。
体外受精の検査
一般的な不妊症の検査結果や今までの治療経過から、体外受精に進んだ方が良いと判断された場合には、採卵手術を行う前に血液検査を行い全身の状態を調べることになります。
一般的な不妊症検査の種類をみていきましょう。
一般的な不妊症検査
・採血検査
感染症の有無(性感染症はもちろん、HIV、B型・C型肝炎ウイルス、風疹ウイルス抗体など)や甲状腺機能、女性ホルモンの分泌量を調べます。
またAMHという卵子の残量を示す数値の測定を行い、今後発育できる卵子数の推定を行います。
・内診・経膣超音波
子宮筋腫、内膜症、卵巣のう腫などの異常の有無を確認する検査です。
・子宮卵管造影
子宮口から造影剤を注入し、X線透視下に子宮の形態や卵管が閉塞していないかを確認する検査です。
造影剤が通ることで軽度の閉塞が解消され、検査後に自然妊娠に至るケースも少なくないといわれています。
これらの検査後、何か異常が認められればさらに特殊検査が行われます。
男性側に対しては、精液検査を行い精子の濃度、運動量などを調べることになるでしょう。
また状況に応じて泌尿器科的検査(男性ホルモン量の測定、陰嚢の超音波など)を追加で行います。
採卵前の検査
採卵手術では、自身の希望によって麻酔を使用して行うことができる場合がほとんどです。
麻酔や手術が安全に行えるよう、事前に一般血液検査、心電図を実施し健康状態を確認します。
体外受精の治療費以外にも、検査費用もかかるため、選択した病院の料金プランは必ず確認しましょう。
また、各検査は一度にできるものではなく、月経前・月経後など検査を受ける時期が異なります。
全ての検査を終えるまでに数週間かかることがある点も把握しておきましょう。
体外受精の種類
体外受精の種類は「標準体外受精」「顕微授精」の大きく2つに分かれ、精子と卵子の状態や過去の治療歴、患者の希望などで、それぞれ適した方法が選択されます。
更に女性側の採卵方法も、「刺激周期」「自然周期」の2種類が存在します。
体外受精の術式
標準体外受精
採取した卵子を容器に入れ、そこにパートナーから採取した精子と接触させ、精子が自ら卵子に侵入する「自然受精」を待つ方法です。
一般的には、男性側に5万~10万個/mLの十分な精子量が見られる場合に選択されます。
受精に成功したら、容器の中で一定の期間をかけて培養を行います。
十分に細胞分裂の進行が確認され、胚として成熟した受精卵のみ、女性側の体内に戻されます(胚移植)。
顕微授精
顕微鏡で確認しながら精子を卵子の中に針で直接注入する方法です。
標準体外受精で失敗した際に、次のステップとして選択されるほか、男性側の精子量が5万~10万個/mLに満たない場合に提案されることがあります。
採卵方法
刺激周期
月経時から採卵まで毎日排卵誘発剤を注射し、卵子数を増やして採卵率を上げる方法です。
排卵時期をコントロールできるため、現在は自然周期よりも刺激周期を選択される場合が多くなっています。
刺激周期の大きなメリットは、成熟した卵子を多く採取できるため、受精率・妊娠率が上がることです。
しかし、毎日注射をするため身体的・精神的・経済的な負担がかかります。
また薬剤投与によって卵巣への負担が大きく、卵巣過剰刺激症候群※(OHSS)を起こす可能性があります。
※卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤で過剰に卵巣が刺激されることにより、卵巣が腫れたり、胸水や腹水が溜まる病態です。
重症化すると血栓症や腎不全を起こします。
薬剤使用中に「吐き気」「お腹が張る」「体重が急に増える」などの症状があれば担当医に相談しましょう。
自然周期
ホルモン値をこまめに測定し、病院側で排卵日を予測しながら自然な排卵を待つ方法です。
通常、一度に採取できる卵子は1つですが、卵胞ごと採取し一度に複数の卵子を採る方法もあります。
排卵誘発剤を使わないため、刺激周期よりも負担が少ないものの、自然な排卵日の予測や採卵のタイミングが難しい点が挙げられます。
そのため、通院回数が増えたり、採卵日が急に決まることも多く、仕事などの予定を立てにくくなる点に注意が必要です。
また、一度に採取できる卵子が少ないため、妊娠まで時間がかかることがあります。
上記の治療とともに、精子と卵子の状態をより良くするための夫婦生活指導、サプリメント・漢方薬などの内服治療を行う場合もあります。
体外受精の病院の種類
体外受精の治療を行うにあたり病院の種類を把握しておきましょう。
体外受精を行っている病院として、「大学病院・総合病院」「産婦人科医院」「不妊治療専門クリニック」の3種類が選択肢となります。
《1》大学病院・総合病院
- 医療設備の充実
- 複数の診療科があるため基礎疾患のある不妊治療にも対応可能
- 合併症・救急入院・出産入院にも対応
- 地域に1ヶ所は存在
- 紹介状なしが必要なところが多い
- 病院が大きいからといって必ずしも体外受精の成功率が高いわけではない
《2》産婦人科医院
- 院数が多く身近にあれば通いやすい
- 最初の相談がしやすい
- 全ての病院が不妊症治療に注力しているわけではない
- 体外受精を行なっていないこともあるので注意が必要
- 妊娠成立後も出産まで一貫して見てもらえるところも多い
- 必要に応じて大学病院・総合病院にかかるための紹介状がもらえる
《3》不妊治療専門クリニック
- 不妊治療に特化している
- 体外受精・顕微授精の実績も多い
- 自由診療で保険が効かないところが多い
- 都市部に集中傾向があるため通いにくい場合がある
- 実績の高い病院は患者数が多く、予約が難しかったり待ち時間が長いこともある
- 妊娠の成立後は、別の病院で妊婦健診、出産をしなければならないことが多い
それぞれの大まかな特徴は上記の通りです。
治療費だけでなく検査費用もかかるため、入念に検討しましょう。
体外受精の病院選びの際に重視する点
体外受精を行う病院を選ぶ際に、重視すべきポイントがあります。
病院の治療方針や費用・料金体系、男性不妊外来の有無、医師との相性、通院のしやすさ、病院の口コミ・評判など複数の観点から病院を選ぶのがおすすめです。
《1》病院の治療方針
患者さんの希望や予算に合わせて複数の治療法が提案される病院、メインで行なっている治療法にフォーカスした提案をおこなう病院など、治療方針はそれぞれ異なります。
既に不妊治療を経験していて、最初から体外受精を希望する場合、体外受精がメインの病院がおすすめです。
しかし、不妊治療が初めての時は、年齢にもよりますが体外受精だけにこだわらず、さまざまな治療法に対応している病院やクリニックを選びましょう。
《2》費用・料金体系
基本的には、検査や治療の項目ごとに料金を設定している病院・クリニックがほとんどです。
しかし、自由診療が多くなる体外受精では、従来の「定額制」ではなく「成功報酬制」を導入している病院・クリニックもあります。
成功報酬制とは、治療の工程ごとに成功した場合のみ「成功報酬」として料金が発生する料金体系です。
年齢を始めとする所定条件をクリアする必要があるものの、万が一治療が上手くいかなかった場合でも、費用を抑えられるメリットがあります。
一方、定額制では治療結果にかかわらず料金が発生します。
費用や料金体系は病院・クリニックによって異なるため、事前に調べた上で選びましょう。
※厚労省によると、体外受精などの「特定不妊治療」において条件を満たしている場合、給付が受けられる可能性があります。
《3》男性不妊外来の有無
事前の精液検査で、男性側に不妊の原因が見つかるケースもあります。
その場合、より詳しく精査するため、男性不妊外来や生殖医療専門の泌尿器科を受診しなけなければなりません。
通院中の病院で詳しい検査が受けられない場合、検査に対応している病院を自分で探す必要が出てきます。
最初から男性不妊外来のある病院を選べば、そのようなケースでも柔軟に対応してもらえます。
《4》医師との相性
医師の技術や知識はもちろん、それだけでなく、患者さんの希望を可能な限り汲み取れるような医師を選ぶことが大切です。
どの程度希望に沿えるかは病院によっても異なるため、一度実際に相談・診察を経てから判断しましょう。
また、病院によっては、不妊治療の説明会を定期的に開いているところもありますので、参加してみると医師やスタッフの雰囲気がわかりやすいでしょう。
身近に病院がなく、複数の病院へ行くことが難しい場合は、電話での相談が可能なところもあります。
しかし、そのような病院は数が多くないのが現実です。
《5》通院のしやすさ
一般的に体外受精では、精子・卵子の採取や胚移植のため、複数回の受診が必要です。
頻度は病院にもよるものの、できる限り通院の手間が少なく、交通の便も良い場所にある病院が通いやすいでしょう。
また、通いやすさにおいては、場所だけでなく診療時間も重要です。
男女二人で通院することが多くなることから、どちらも都合の合う時間帯と検討している病院の診療時間を照らし合わせて選びましょう。
《6》病院の口コミ・評判
体外受精を受ける病院を選ぶ際に、Googleマップの口コミやSNS上の評判など、実際に診察を受けた患者の声をみることも大切です。
十分な量の口コミ・評判が掲載されている場合は参考になるでしょう。
口コミ・評判を参照する際は、1年以上前の古い投稿ではなく、最新の投稿から調査しましょう。
また内容の善し悪しが偏らないように、高評価と低評価のどちらもチェックすることをお勧めします。
体外受精の病院選びのためのチェックリスト
体外受精の病院を選ぶときには、以下のようなポイントを参考にしてみましょう。
- 病院の治療方針
- 費用・料金体系
- 男性不妊外来の有無
- 医師との相性
- 通院のしやすさ
- 病院の口コミ・評判
それぞれのポイントをチェックするには、まずは病院の公式ホームページを確認し、治療説明会に参加する方法があります。
最近ではオンライン説明会を開催している病院も多いため、自宅で病院や医師、看護師の雰囲気を知ることも可能です。
体外受精を希望する場合、不妊症の症例や体外受精の実績などをホームページで公開している病院・クリニックをまず検討してみるとよいでしょう。
具体的な症例や実績のようなデータを把握することで、より安心して病院で治療を受けることができます。
まとめ
体外受精を希望する場合、病院の選択肢がかなり限定されます。
近所に体外受精ができる病院やクリニックがなければ、遠方へ通う可能性も出てくるかもしれません。
そのため通いやすさよりも、体外受精の実績や病院との相性を優先して選ぶことが大切です。
また、体外受精は「受精率が高い」といわれているものの、妊娠成功率が特段高いわけではありません。
更に年齢を重ねる度、妊娠成功率は大幅に下がっていきます。
不妊治療を続ける中で「今の治療法をこのまま続けて良いのか」と不安に思ったら、主治医や病院の変更も視野に入れ、より納得の行く治療を受けられる病院を選ぶことが大切です。
以上お読みいただきまして、少しでも体外受精の病院選びの際にお役に立てましたら幸いです。