性病(性感染症)はどこで相談すべき?失敗しない性病の病院の選び方

記事要約

「排尿時に痛みがでるようになった」「妊娠中に性病に感染したらどうなるのか」「病院はどう選べばよいのか」と悩む方は多いと思います。そこで、本記事では性病(性感染症)の種類や病院の選び方など、治療に役立つポイントを解説いたします。

痛みやかゆみなど性器に異常がみられるようになった、そもそも性病(性感染症)の治療方法を知らない、病院はどこに行けばよいかわからないと悩んでしまう方もいるでしょう。

そこで、今回は性病の種類や病院の特色による対応の違いなどにふれ、病院選びに役立つポイントを詳しくみていきましょう。

性病(性感染症)とは

性病とは、性行為によって体内に病原菌(細菌やウイルスなど)が侵入して感染を引き起こす感染症のことです。
感染経路は主に接触感染で、体液(血液、精液、膣分泌液)が性器などの粘膜に接触し、起こります。

唾液や排泄物を介して感染しうるものもありますが、性行為以外の日常生活で感染することはないと考えられています。
症状の中には自覚症状がみられないものも少なくありません。

また、性病はSexually Transmitted Diseasesの頭文字をとって「STD」とも呼ばれています。

※感染症予防法上では、1999年以降、性病から「性感染症」が正式名称に変更されましたが、性病の方が一般的に広く浸透しているため、本記事では性病と表記します。

性病(性感染症)の原因

性病の原因は性行為です。
近年では性行為も多様化し、以下の行為によって感染する事例も増えてきています。

  • 口腔性交(フェラチオ・クンニリングスなど)
  • 肛門性交(アナルセックスなど)

こうした行為によって、病原菌を含んだ体液が口や性器の粘膜などに接触することで、性病を発症します。

性病(性感染症)の病院を受診するタイミング

潜伏期間があるため、性病は性行為後すぐに症状は表れません。

潜伏期間は性病によって異なるため、数日程度のものもあれば数週間と比較的長期間に及ぶものもあります。

性病は自然には治らない感染症です。

症状が表れた・コンドームをしない・行為に不安があるといった場合、放置せずに検査を受けましょう。

放置してしまうと以下のようなリスクがあります。

  • 他の性病に感染しやすくなってしまう(HIVなど)
  • 不妊症の原因になる
  • 赤ちゃんに感染してしまう

性病に感染した場合、粘膜は炎症を起こすため、抵抗力が下がった状態となります。

そのため、性病を放置してしまうと、HIVなど他の性病に感染するリスクも高まる点は注意しておきましょう。

また、妊娠中に感染すると流産や早産の原因になることがあります。

ほかにも、胎内感染・産道感染・母乳感染によって赤ちゃんに感染する可能性も高まります。

そのため、妊娠中でも、コンドームをつけない性行為は避けることが大切です。

妊娠中はパートナーの理解を得て、相互協力していくことが重要です。

妊娠が発覚した際も性病検査を受けるには適したタイミングだといえるでしょう。

性病(性感染症)の検査

検査

性病の種類は多く、男女で検査方法が異なるものもあります。具体的な検査方法は以下の6つです。

問診:症状、性行為の時期やその内容(口腔性交や同性間性交の有無)など性病の原因を知るために行う

診察:患部の診察を行う。必要に応じて、膣鏡による内診や直腸診なども行う

血液検査:血液でしかみつからない種類の性病を検査する

おりもの検査:女性の性病検査で膣内の分泌物を採取して検査する

尿検査:主に男性の性病検査において実施する

のどの検査:のどの粘膜を検査する

近年では、病院で検査できるものだけでなく、検査キットを用いて自宅にいながら性病の検査ができる方法もあります。

しかし、検査キットは自分で採取するため、検査結果に対して不安が残るケースも少なくありません。

また、病院で検査を受ける場合、状況によっては検査費用が保険適用外になることがあります。

その場合は自由診療となるため、費用は検査を行う病院によって変動します。

保険適用診療では、原則として症状が出ていないと検査や治療はできません。

そのため、単純に心配だから検査を受けたいといった場合には保険適用外になります。

しかし、症状や診察によって、医師が検査の必要があると判断した場合には保険適用となる点は意識しておきましょう。 

一方で、性病を専門とするクリニックでは自由診療(保険適用外)のみを行っているところも少なくありません。

これは、匿名受診(保険証を使用しない)、当日すぐに結果が出る即日検査の採用、保険診療では制限のある治療薬の使用など、患者側の利便性を考えた対応を行なっているためです。

検査費用は1項目の検査で2,000~4,000円ほどで、検査項目が多い場合、2~3万円ほどの費用が目安です。検査が保険適用と判断された場合、多くても10,000円以内で検査できることもあります。保健所を利用した検査も可能です。全国の保健所では一部の性病検査を無料で行っています。

しかし、検査は尿検査と血液検査のみで、検査できる日も限られている点には注意が必要です。HIV検査は全国の保健所で匿名、無料で受けることが可能です。しかし、他の性病に関しては各保健所で対応が異なるため、事前に確認しなければなりません。また、保健所では検査のみが可能であるため、治療は医療機関で行うことになります。加えて、検査結果の証明書の発行はできない点に注意が必要です。

性病(性感染症)の種類

性病の種類は多く20種類以上が存在します。男女で症状の表れ方が異なる性病も多いといえます。
ここでは、日本で症例が多く、認知度の高い5つの性病についてみていきましょう。

《1》性器クラミジア感染症

性器クラミジア感染症は、日本でもっとも多い性病の1つです。

2019年では男女合計で約27,000人の感染が報告されています。

性器クラミジア感染症は、自覚症状が表れないことも多く、感染拡大や不妊、HIVへの感染率の増加の原因になることもある性病です。

クラミジアの潜伏期間は1〜3週間です。

男性では尿道炎が主症状で、排尿時の痛みや痒み、膿の付着などが認められます。

一方、女性では自覚症状がないケースも多くあります。

そのため、病状が進行し、骨盤内付属器炎 (PID)や肝周囲炎を起こしたり、卵管炎などの不妊の原因を引き起こしたりするケースも少なくありません。

また、妊婦の感染では産道感染による新生児肺炎、結膜炎の原因となります。

検査方法としては、尿・膣分泌液・うがい液などで行う抗原検査やPCR法が一般的です。

性器クラミジア感染と診断された場合、抗菌薬で治療が可能です。

《2》淋病

淋病は1回の性行為で感染する確率が20~50%と高く、クラミジア同様に感染報告の多い性病です。

通常2〜9日の潜伏期間を経て、男性の場合、尿道炎を起こし膿の分泌や排尿時の痛みを自覚することになります。

対して、女性の場合は、性器クラミジア感染症と同様に無症状の場合も多いといえるでしょう。

放置してしまうと子宮内膜炎・卵管炎・腹膜炎などに発展してしまう可能性があります。

また、妊娠中の感染は流産や早産を引き起こし、産道感染の原因となります。

女性は自分で感染に気付くことが難しいため、一度検査を受けておくとよいでしょう。

検査方法としては、尿・膣分泌液・うがい液などで行う抗原検査やPCR法が一般的です。

淋病と診断された場合は、抗菌薬で治療できます。

《3》性器ヘルペスウイルス感染症

性器ヘルペスウイルス感染症は、男女問わず感染しやすい性病です。

ヘルペスウイルスの潜伏期間は2日〜3週間です。

症状としては、男性の場合、包皮や亀頭部に痒みを感じたり、水疱(すいほう)ができはじめ、それが潰れて潰瘍になることで強い痛みが生じたりするようになります。

対して、女性の場合、男性と同様に水疱や潰瘍ができ、排尿時に激痛を伴うことがあります。

なかには痛みのために歩くことが困難になる方もいるほどです。

また、妊娠中に感染すると、赤ちゃんに感染するリスクがあります。

まれに性行為以外でも、不衛生な環境で感染してしまう恐れがあります。

トイレの便座や銭湯の風呂イスなどの衛生面には注意しておきましょう。

一般的に、便座を拭く、風呂椅子をシャワーで流すなどすれば感染することはないと考えられています。

検査方法としては、患部の浸出液による抗原検査や血液による抗体検査もあります。

しかし、他のヘルペスウイルス感染の既往歴(例 水ぼうそう、帯状疱疹、口唇ヘルペス)の影響を受けることがあることから、性器ヘルペスを正確に診断できないため、あまり推奨されていません。 

治療は抗ウイルス薬の内服または点滴があります。

ヘルペスウイルスは一度感染すると体内の神経節という部分に潜伏するため、いったん症状が治ったとしても、体調や免疫力の状態によっては再発を繰り返すということは覚えておくとよいでしょう。

《4》尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルスによる感染症です。

男女問わず感染し、症状も性差のない性病です。

症状は性器や肛門の周辺に、カリフラワー状もしくは乳頭のようなイボができます。

性器だけでなく、口や舌にできることもあります。

痛みやかゆみがないことで放置されやすい症状であるものの、放置してしまうと大きくなったり、他の箇所に広がったりする恐れがあるため注意が必要です。

また、ウイルスを完全に死滅させることが難しく、再発率が高い点にも注意が必要です。

一般的に尖圭コンジローマは、視診によって診断されることが多く、診断に有用な検査はありません。

治療は、軟膏の塗布や液体窒素によるイボの除去などがあります。

予防としては、コンドームを着用した性行為が大切です。しかし、100%予防できるものではありません。

有効な予防法として、同じくヒトパピローマウイルスによって発症する子宮頸がんに対するワクチンがあります。

ワクチンを接種することで、尖圭コンジローマを予防できます。

2020年12月から男性にも子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種が可能になりました。

《5》梅毒

梅毒は近年感染者が急増している性病で、梅毒トレポネーマという細菌による感染症です。

性器だけでなく、全身に症状が表れ、末期症状になると心臓や神経に障がいが出ることもあります。

潜伏期間は3〜6週間でしこりや潰瘍、リンパ節の腫れが見られ、さらに進行すると全身に湿疹が現れ、脱毛や発熱、倦怠感などの症状が出現します。

また、症状は途中で消えることがあるため、治ったと勘違いしやすい病気です。

しこりやリンパの痛み、イボや脱毛症状などの違和感を覚えたらすぐに検査を行いましょう。

検査方法は血液を用いた抗体検査です。

ただし、感染直後の検査では陰性となるため、感染が疑われる性行為後、3週間以上経ってからの検査が大切です。

この期間は医療機関によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。

治療方法は抗生剤の内服となります。

全ての性病は放置しても完治しません。

自覚症状がない場合もあるため、少しでも不安を感じる場合は、検査を受けておきましょう。

性病(性感染症)病院の種類

性病の検査や治療を行うにあたって、実施している病院の種類を知っておくことも大切です。

性病の病院は、性病専門のクリニック・総合病院・大学病院・全国の保健所や自治体が選択肢となります。

《1》性病専門のクリニック

  • 性病を専門に扱っているため、性病の総合的な検査や治療が可能
  • 匿名での検査ができるなど、プライバシーに配慮した対応が見込めるところが多い
  • 事前の問診をWebで行えるところが多く、待合室で他の人と顔を合わせにくい
  • 施設によっては、検査キットを用いたオンライン診療が可能
  • ただし症状の有無に関わらず自由診療の場合が多い

《2》総合病院・大学病院

  • 泌尿器科・婦人科・性病科で検査や治療が可能
  • 性病が原因でほかの病気を発症してしまった場合も総合的な治療が可能
  • 匿名での検査には対応していない場合が多い
  • 検査で異常がみつかった場合、すばやく治療に移行できる

《3》全国の保健所や自治体

  • 全国の自治体や保健所で検査が可能
  • HIV・梅毒・クラミジア・淋菌の検査ができることが多いが各保健所によって異なる
  • 匿名・無料で検査が可能
  • 検査方法は尿検査と血液検査のみ
  • 検査結果が当日にわかる場合も多い
  • 検査できる日時や人数は限定されている
  • 集団検査のため、他の人と顔を合わせる可能性は高い
  • 検査のみで治療は受けられない

特徴はそれぞれ異なりますが、保健所や自治体の場合、検査だけであれば無料で実施できます。

自身の状況とそれぞれの特徴を把握したうえで、通院する病院を選択することが大切です。

性病(性感染症)の病院選びの際に重視する点

ポイント

性病の病院を選ぶ時には、保険適用のある病院かどうか、プライバシーの配慮・性病に精通している医師がいるかどうか、アクセス・オンライン診療に対応しているかどうかを意識して選びましょう。

《1》保険適用のある病院かどうか

性病専門のクリニックでは、症状の有無にかかわらず保険適用外の自由診療を行なっているところが多くあります。

検査費用は項目ごとに異なるため、複数の検査を行う場合には、2~3万円ほどの費用が発生することがあります。

症状があったうえで保険適用となる場合、自己負担は3割ほどになるため、費用を抑えることが可能です。

しかし、保険の適用条件は、あくまでも症状がある場合に限られる点は把握しておきましょう。

症状がない場合の検査は自由診療扱いとなります。

《2》プライバシーの配慮

性病の事実をまわりに知られたくないと思う方は多いでしょう。

性病専門のクリニックでは、比較的プライバシーの配慮に対する工夫を行っている場所もあります。

ホームページのほかにGoogleマップのレビューや口コミサイトを検索し、継続して通える病院であることを確認しておくことも大切です。

レビューや口コミはあくまで個人の主観です。

プライバシーの配慮がなければ、治療そのものが苦痛となるケースもあるため、慎重に調べましょう。

《3》性病に精通している医師がいるかどうか

医療機関によっては、泌尿器科や婦人科であっても、性病については詳しくない医師がいる場合もある点は注意が必要です。

性病は性器だけでなく、のどに発症する事例も増えています。

そのため、知識が十分でない医師の場合、のどの感染を見逃してしまう可能性があります。

性病に精通している医師が診察する日を問い合わせ、性病科のある病院を探してみるとよいでしょう。

《4》アクセス

再検査や治療が必要になった場合は何度か通う必要があるため、ある程度通いやすい病院を選択することも大切です。

しかし、自宅や会社に近すぎる病院だと、知り合いに気づかれてしまうリスクが気になるケースもあるでしょう。

そのため、ある程度離れた場所でも、駅から近い、車で通いやすいなど通院しやすい病院を選択するとそういったリスクを避けられます。

《5》オンライン診療に対応しているかどうか

病院によっては、性病の検査キットを利用して自宅で性病の検査を行うことも可能です。

オンライン診療であれば、他の人に知られることなく検査ができることに加え、検査結果もWebや郵送で確認できます。

しかし、検査に必要なサンプルを自分で採取するため、検査結果が正確でない可能性があることは把握しておきましょう。

性病は検査だけが目的の場合、保健所の検査やオンライン診療でも十分です。

しかし、すでに症状が表れている場合には治療が必要なため、上記の点をふまえたうえで、検査と治療が同時にできる性病専門のクリニックや総合病院などを選びましょう。

性病(性感染症)の病院選びのためのチェックリスト

チェックリスト

性病の病院を選ぶ時には、以下のポイントをチェックして選ぶとよいでしょう。

  • 保険診療を行う病院かどうか
  • プライバシーの配慮
  • 性病に精通している医師がいるかどうか
  • 病院の評判

性病の検査のみを利用する場合には、自宅で検査キットを活用する方法もあります。

しかし、検査のみでは、治療に必要な薬を購入できません。

そのため、検査から治療まですべて対応できる病院を選ぶことが大切です。

性病専門クリニックの多くは保険適用外の自由診療であるものの、保険診療を行う病院であれば、自己負担額を抑えられる場合もあります。

病院を選ぶ際には上記のポイントを意識して、病院の信頼性や負担できる費用面など総合的に判断して選ぶようにしましょう。

まとめ

性病の検査や治療を行う場合、検査から治療まで一貫して実施できる医療機関かどうかリサーチするところからスタートしましょう。

性病の場合、症状が表れてから探すことが多いためです。

また、異性の医師に診察してもらうことに抵抗がある方も多いでしょう。

しかし、同性の医師でも性病に関して精通していなければ、適切な診察や治療方法が行えません。

そのため、医師の性別よりも性病に精通している医師かどうか、自分が納得のできる治療内容なのか見極めて判断することが重要です。

以上お読みいただきまして、少しでも性病治療の病院選びにお役に立てましたら幸いです。

おうち病院
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