乳腺症|疾患情報【おうち病院】

記事要約

乳腺症とは女性ホルモンのバランスが崩れることによって乳腺に起こるしこりや痛み、分泌物が出るなどの状態をいいます。乳腺症の原因・治療方法・診断のコツなどを、医師監修の基解説します。

乳腺症とは

正常の乳腺は成長や加齢とともに、女性ホルモンの変化に反応して、発達したり縮小したりして常に変化しています。女性ホルモンのバランスが崩れることによって乳腺に起こるしこりや痛み、分泌物が出るなどの状態を乳腺症といいます。

乳腺症と似た病名に乳腺炎がありますが、授乳期に乳汁がうまく出ないことが原因で、細菌の感染が起こるものを乳腺炎といい、乳腺症とは別の病態になります。

乳腺症の原因

女性ホルモンのバランスが崩れることが原因と考えられており、乳房痛や小さなしこりがたくさんできます。しかし、必ずしも病気ではないので、基本的に治療は必要ありません。ただし、乳腺症の一部には、しこりや痛みがあり、乳がんとの鑑別が難しいこともあります。そのような場合には、針生検や定期的な通院が必要になる場合もあります。

乳腺症の疫学的整理

30~50代女性に好発し、乳腺の病気の中で発症数が最も多い疾患です。

大部分の方は、閉経を迎え、卵巣機能が低下に伴って自然と症状が緩和されます。

乳腺症の症状

触って分かるほどの乳房のしこりや張り、痛みや乳頭から透明、乳白色の分泌物がでるなどの症状があります。女性ホルモンと関連しているため、月経前に症状が強くなり、月経が始まると弱まる傾向があります。痛みの程度は個人差があり、痛みをほとんど感じないという人もいれば、少し揺れたり触れたりするだけでも痛みが走るという人もいます。痛みが強くなると、月経周期に関係なく痛むようになります。

乳腺症の診断

まず問診・触診・視診でしこりの有無を確認し、マンモグラフィと超音波検査を行います。マンモグラフィでは腫瘍や石灰化の有無がわかり、乳房全体の診断をすることが可能です。超音波検査ではマンモグラフィに写らない微小なしこりを見つけることができます。必要に応じて、造影MRI検査や細胞診、針生検などを行うこともあります。

乳腺症の治療

乳腺症は原則経過観察のみで、治療の必要はありません。ただし、痛みなどの症状が強い場合に受診者が希望すれば対応できる医療機関もあります。診察の結果、女性ホルモンを抑える薬や鎮痛剤、漢方薬などが処方される場合があります。大きなのう胞ができた場合は、検査も兼ねて中の液体を吸引することもあります。

ご自身でできる乳房痛への対処法として、まず、身体によくあうブラジャーの着用が大切です。特に痛みが睡眠のさまたげとなっている場合は、夜間に柔らかいブラジャーを身に着けましょう。またお茶やコーヒー・コーラなどのカフェインを含む飲み物や、禁煙してニコチンの摂取が乳房痛を誘因すると考えられているので、これらを控えると乳房痛の改善につながります。

乳腺症の相談目安

  • 乳房を触ってみてしこりがある
  • 乳房の形が崩れている、偏りがある
  • 両腕を上にあげた時に突っ張るような感じがある
  • 脇の下にしこりがある
  • 乳房に痛みがある

ご自身で乳房を触ったり、観察したりしたときに上記所見があるときは受診をしましょう。

乳腺症と乳がんの関係

基本的に乳腺症から乳がんに変化することはないとされていますが、乳腺症と乳がんの罹患年齢が重なるたことや、また乳腺症と乳がんは区別しにくいこともあるので乳がん専門医による診察を受け適切な診断してもらうことが重要です。

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