聞いたことはある「メニエール病」!でもいったいどんな病気なんだろう?【医師にインタビュー】

記事要約

軽いめまいや軽い耳鳴りの場合、疲れのせいかなと受け止めてしまい通院しないという人もいるのではないでしょうか?メニエール病は進行すると、日常生活もままならない状態になり、治療が長引くことも。早めに気が付くことが出来るために、症状や受診科についてお伝えしていきます。

メニエール病とは?

少し変わった病名「メニエール病」。この疾病は、1868年にフランスのプロスベルメニエール医師が報告したことから名づけられました。メニエール病、実は働き盛りの皆さんにとって、身近な病気ともいえるのです。かなり歴史のある病気ですが、実は長年確定診断は難しいと言われてきました。それは、眩暈には様々な病気が潜んでいるからです。ですが2021年になり、ようやくガイドラインが整い、確定診断ができるようになりました。その確定基準は、聴覚に症状があり、内耳に造影MRIにおいて内リンパ腫が認められた場合になります。内耳のリンパが増えて、水ぶくれのような状態になることです。
症状として最も多いのは、ぐるぐると回るような回転性めまいや難聴が挙げられます。前触れもなく、急に眩暈に襲われることが多いため、救急車で運ばれるケースもあります。その他、耳の詰まり感や耳鳴りといった症状や、めまいの持続時間が長くなると、吐き気なども伴います。中でもメニエール病の特徴と言えるのは、「繰り返す眩暈」です。他の病気の場合(突発性難聴等)の眩暈は、1回で治まるケースが殆どですが、メニエール病は数十分から数時間程度の眩暈が反復して起こります。繰り返し起こることで診断を下すため、充分な問診が必要になるでしょう。

原因や治療法は?

メニエール病の原因は、前述の通り内耳に内リンパ液が溜まることですが、何故引き起こされるのかのメカニズムについては、解明されていません。誘因としては、ストレスや心身の疲労等と考えられています。また睡眠不足も影響してくるでしょう。特にストレスは大敵となるため、日頃から無理をせずリラックスし、生活習慣を整えていくことが大切です。最近では気圧の変化も影響していると言われています。気圧の変化を予測するアプリ等を参考に、低気圧になる時には身体を休めるなど考えてみてもいいかもしれません。

治療法は、内服治療が中心になります。薬剤としては、吐き気止め、むくみとり(利尿薬)、カリウム・ナトリウムの調節薬、抗不安薬、そして炎症を抑えるためのステロイド薬等が投与されます。ステロイドは難聴症状の際に用いられ、症状が出てから24時間以内が望ましいと言われています。また、症状が重い場合は点滴や注射を行うこと、さらに難治性の場合は、内リンパを減らす手術を行うこともありますが、手術に至る方は10%以下と言われています。基本的には、投薬で様子を見ながら自身で治まるまで待ち、治していく病気です。ならないように予防することが重要になってきます。その為の方法として、30分以上の有酸素運動や、ナトリウム(塩分)を控えることが推奨されています。また、1日2リットルのお水を飲むこと(水分大量摂取治療)や、7時間以上の睡眠も予防のため有効だと言われています。

罹患しやすい特性などは?

女性が発症しやすいと言われていますが、割合でいいますと、男性:女性=1:1.3位で、必ずしも女性の病気とは言えなくなっています。男性も女性も30代~50代の働き盛りの年代が多いようです。特性としては、真面目に物事に取り組むタイプの方や、几帳面な方、育児介護をしている方、重圧を感じる管理職の方など、前項に記載した「ストレスを溜めやすい環境や性質の方」が発症しやすいとわれています。女性ホルモンとの関係性は分かっていませんが、更年期の辛い症状がストレスとなり、メニエール病を併発してしまうケースもあります。また、現段階では遺伝するという結果は出ていません。

受診する科は?

眩暈がすると、脳の病気ではないかと感じ内科や掛かりつけ医へ行こうと考える方も多いと思います。

もちろん、内科でも診断できますが、聴覚症状も伴っている場合は、耳鼻科を受診されることをお奨めします。それはこの治療が時間との勝負で、診断が遅れることを避けるためです。耳鼻科はメニエール病と確定診断するための検査がスムーズにでき、投薬の必要がある場合は、すぐに対応できます。聴覚症状(耳鳴り・耳閉感等)がある時は、耳鼻科を受診するようにしましょう。

まとめ

メニエール病についてお話してまいりましたがいかがでしたでしょうか?耳鳴りやちょっとした眩暈の病気と思っていた方も、実は日常生活に大きく影響し、早い診断・治療を要するということを知って頂けたのではないでしょうか?この病気は「この薬を飲んでおけば安心」「この治療をすれば症状が出ません」と確立されたものがありません。そのため、ご自身と向き合い 何がストレスに感じているかを把握して、可能な範囲で要因を取り除き軽減することを心掛けましょう。特に読者の皆様は、多くの役割があり、ストレスを抱えやすい年代だと思います。ストレスゼロは難しいですが、充分な睡眠や気分転換で、心にも耳にも重圧をかけないよう過ごしてください。

当社のオンライン診断では、メニエール病と診断された方の不足分のお薬処方が可能です。お忙しい時など、是非ご活用ください。

<リファレンス>

ガイドライン 一般社団法人日本めまい平衡医学会より

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