偽性副甲状腺機能低下症|clila疾患情報

記事要約

偽性副甲状腺機能低下症とは、副甲状腺ホルモンが正常に分泌されているにもかかわらず、腎臓や骨などの標的組織が副甲状腺ホルモンに対して抵抗性を示し、副甲状腺機能低下症と同じような症状を呈する病態です。この記事では偽性副甲状腺機能低下症について医師監修の基解説します。

偽性副甲状腺機能低下症とは

副甲状腺とは、甲状腺(喉仏の骨よりやや下の方にある臓器)の裏側にある小さな米粒大のホルモンを出す臓器で、通常は、左右に上下2つずつ合計4つあります。そこから、体の中のカルシウムのバランスを整える副甲状腺ホルモンというホルモンが分泌され、体の中の腎臓や骨に働きかけ、血中カルシウム濃度を上昇させます。
偽性副甲状腺機能低下症の患者さんでは、副甲状腺ホルモンが正常に分泌されているにもかかわらず、腎臓や骨などの標的組織が副甲状腺ホルモンに対して抵抗性を示し、低カルシウム血症、高リン血症など、副甲状腺機能低下症と同じような症状を呈する病態です。

偽性副甲状腺機能低下症の原因

多くの患者さんでは、Gsタンパクというタンパク質が正常に機能しないことで発症するとされています。このタンパク質の設計図となるDNAの異常やたんぱく質の量の異常が原因となります。

偽性副甲状腺機能低下症の疫学的整理

日本には1500人程度の患者さんがいらっしゃると推測されます。偽性副甲状腺機能低下症は、国の指定難病の一つで、現在日本では105名(参考:令和2年指定難病受給者証所持者数)の方が難病指定を受け治療を受けています。

偽性副甲状腺機能低下症の症状

低カルシウム血症による症状は、口周囲や手足などのしびれ感・錯感覚(触覚を痛み・ぴりぴり感として感じるなど異なった感覚として認識される感覚)、テタニーと呼ばれる手足の筋肉の痙攣、喉頭けいれん、全身けいれんが問題となります。
これに加え、白内障や大脳基底核の石灰化、抑うつ、不整脈、皮膚や毛髪の異常、歯の発育異常など、多彩な症状を呈します。副甲状腺ホルモン以外に対する抵抗性を示す症例では、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症を合併することがあります。
Albright遺伝性骨異栄養症という病型では、異所性皮下骨化、短指趾症、円形顔貌、肥満、低身長、知能障害などの症状を合併します。

偽性副甲状腺機能低下症の診断

口周囲や手足などのしびれ・錯感覚、テタニー、全身けいれんなどの症状に加えて、低カルシウム血症、正または高リン血症、eGFR 30mL/min/1.73m2以上、Intact PTH 30pg/mL以上などの血液検査所見の有無、ビタミンD欠乏症を除外、加えて、GNAS遺伝子の変異、GNAS遺伝子の転写調節領域のDNAメチル化異常などの遺伝学的検査を満たすかどうかなどで確定診断がなされます。
 
治療の必要性の有無や異所性皮下骨化、短指趾症、知能障害により日常生活に制約があるかどうかなどで重症度分類されます。

偽性副甲状腺機能低下症の治療

活性型ビタミンD3製剤を服用することで、血液中カルシウム濃度をほぼ正常に維持する事が出来ます。
けいれんなどの症状がありコントロールが難しい場合には、カルシウム製剤が併用されることがあります。血液カルシウム濃度の低下が改善すると、上記の症状は殆ど見られなくなります。活性型ビタミンD製剤による治療を継続して血液のカルシウム濃度をほぼ正常に維持することにより、多くの患者さんはほとんど自覚症状もなく通常の生活をおくることができます。

甲状腺ホルモン抵抗性による甲状腺機能低下症を合併する場合には甲状腺ホルモン薬の補充療法、成長ホルモン放出ホルモン抵抗性による成長ホルモン分泌不全を合併する場合には成長ホルモン投与を行います。

偽性副甲状腺機能低下症の相談の目安

手足の筋肉のつっぱりやけいれん、手足や口の周りのしびれ感があるとき、低身長や肥満、指が短い、顔が丸い、知能障害などの症状がある場合、内分泌代謝内科や内科の受診をお勧めいたします。

偽性副甲状腺機能低下症の生活上の注意点

薬の内服を中断すると、血中カルシウム濃度が低下し症状が出現する場合がありますので、定期的な内服が極めて重要です。また、同じ量の薬を服用していても、年齢や腎機能の変化などにより血中カルシウム濃度が変動することがあります。このため、定期的に医療機関を受診し、血中カルシウム濃度などにより治療法の評価をする必要があります。

<リファレンス>

難病情報センター副甲状腺機能低下症(指定難病236)